15. 読書の効力2

(2010.2.11)
 さて、文章だらけの長い本を読む事に慣れた息子。それにつれて、文章を書く事にも感覚が養われたようだ。
 息子は作文が苦手で、下手だった。学校から持ち帰る作文を読むと何というか、要点にまとまりが無いし、無駄な部分も多い。表現がわかりにくい。 (うーん、上手ではないよな、これは)と私は思っていた。夏休みの作文や読書感想文など、苦労した。息子自身も苦労しただろうが、教える私も苦労した。

 ちょっと話がそれるが、自分が記憶するに、学校では作文の書き方を教えていない、と思っている。 運動会について、とか遠足について、とか「作文を書きましょう」とは言われるが、文章の書き方を教えていない。 自分の好きなように書いていいのよ、とは言われても、書き方を知らない子供にとって、それはあまりにも漠然としすぎている。
 今でもはっきりと記憶の残っている、自分の作文。小学1年生の時、運動会だか、遠足だかは忘れたけれど。どう書いていいのかわからないので、隣の席の子の書いているのを眺めた。 なるほど、そう書けばいいのか。書いた内容はと言えば・・・
「あさ×時におきました。それからあさごはんをたべて、×時にがっこうに行きました。そして・・・」
 延々と時系列で、事柄を書き出していくという、まことに下手でつまらない作文。もちろん当時はわからなかったわけだが、それでいいと思っていた。 多分、書き方がわからなかったとの思いがあったためか、この作文の記憶が鮮明にある。
 これが「運動会で、みんなは一番楽しかった事は、なーに?」と教師が聞いたとすれば、「玉入れー!」「つなひきー!」「おべんとう!」なんて言葉が生徒から返ってきたはずだ。「じゃあ、自分の一番楽しかった事や、うれしかった事を書いてみましょう!」と言われれば、もっと作文も書きやすかっただろう。

 夏休みの読書感想文の時は、こんな風に息子に教えた。
「まず、文章の設計図を作るんだ。お前がガンダムのプラモデルを作る時に設計図があるだろ? それと同じで、文章にも設計図が必要なんだ。 この本で、一番心に残ったとこ、一番面白かったとこは? うん。じゃ、それがどうして面白いと思った? うん」
 息子の話を聞きながら、紙に、何々が面白い→何々と感じたから→ などと、簡単な「設計図」を書いていく。 会話の途中で「あ、作者は何々だったんだよね」とか設計図に書き足したりして、おおまかな流れを作ってみたりした。 出来上がった設計図をながめさせて、これでいいのか?と確認をさせ、やっぱり、順番変えようとか治したりして。 設計図が完成したら、あとはそれを元に文章を書いてごらん、てな感じ。こんな事、学校では教えてないんだろうなあ、やっぱり。
 決まり切っている算数の公式を教える事はあっても、創作物の作り方なんてものは「書きなさい」と言うだけで、そのやり方なんて、教えてないんだよな。というか、教師が教え方そのものを考えた事もないのかも?
 そういった、文書を書くための一定の形を直接教わるのもひとつの手だが、本を読むというのは、感覚的に文章の組み立て方を感じる方法だと思う。

 赤ちゃんは、日本語を教わって言葉を覚えるのではない。生活の中で、親など周囲の人との関わりの中で、だんだんと言葉を覚えていくのだ。
 それと同様に、多くの本を読む事は、無意識に文の組み立て方を知る事だと思う。人は本を読む時、頭の中でその文章を声を出さずに読み上げているのだ。 「好きな作家の文章というのは、いうなればその作家の思考のパターンが自分に似ているから好ましく感じるのだ」みたいな事を、その昔何かで読んで、なるほどー!と納得してしまった。

 ハリー・ポッターの夏以降からか、息子の書く文章に変化が現れた。あれ?作文、上手くなってるやん! 文にまとまりが出て、自分の言いたい事がよく書けている。 一番最近の、卒業文集にのせるやつなんか、おお、まるで優等生のお手本のような出来じゃないか!(息子が怒るだろうから、引用しないけど)
 本をたくさん読んだ結果、文章を書くのが上手くなっている、と思う。成長したから上達した可能性もあるが、母親として見るに、読書の効果の方が大きいと思う。
 一般的に「子供には本を読ませましょう。集中力がつき、忍耐力もつきます」なんて事をよく聞くが、私にはピンとこない。 子供だろうが大人だろうが、好きな事には集中する。集中力が無いのは、それがつまらないからだ。自分で何かを目指すなら、忍耐もする。本は、楽しいから、読むだけだ。それで十分だ。
 本の世界の面白さを感じる事ができるなら、それは楽しい経験になる。勉強だって、それは自分の知識欲を満たすための遊びだ。
宿題ひきうけ株式会社
宿題ひきうけ株式会社
 最近、息子が気に入っている作家は児童文学の古田足日(ふるた たるひ)。
 実はこれは「読書の効力1」で書いた「大きい一年生と小さな二年生」の作家なんだけど。図書館で息子のために借りてきた「学校へいく道はまよい道」を読ませたら、面白かったらしい。同じ作者の物を借りたい、と言う。

 小学高学年の子におすすめ。
「学校へいく道はまよい道」教師の体罰、いじめ、登校拒否、勉強とは、学校とは何か、子供の権利とは何か、を子供の目線で書いている。
「新版 宿題ひきうけ株式会社」宿題って、勉強ってなんのため? 旧版との違いは、後書きに詳細にあります。
 「読みなさい」と与えるだけでなく、子供に読ませる前、あるいは読んだ後に、保護者にも読んで欲しい。
 大丈夫、児童書だから文字が大きくて、老眼でもつらくないよ(^^) 分厚いったって「学校へ」は大人なら4時間くらいで読み終わるから。
(児童文学作家だから、他に低学年向きの作品もあります。)

 私は本に埋もれて、運動とはまったく縁のない10代を過ごしたのに、なんで今、子供達や初心者に、弓を教えているんだろう? 不思議だ。